mono-logue

2013年10月16日 07:56

 

プロデューサー、ちょっとロスまで来てみました。その1

文/三宅はるえ

Producer Program:ロスに行った理由、日本では学べないこと

pro1.jpg2014年1月の受講生を募集するProducing-UCLA Professional Programs
 2013年6月のある日、日活調布撮影所で行われた、亡くなられた照明技師の「熊谷秀夫さん ありがとうの会」に参加した数時間後、私は羽田空港にいた。目的地はロサンゼルス。夏の間UCLAのフィルムスクールでプロデューサープログラム(UCLA PROFESSIONAL PROGRAM IN PRODUCING)を受けることにしたのだ。

 いつからそうしようと思ったのだろう? 幾つか理由がある中、映画の国際共同製作――いわゆる合作作品に関わる機会が増えてきた、というのが大きな理由の一つだったりする。海外の国と仕事をする度に、制作体制や権利や契約への意識の違いを目の当たりにして、圧倒的に知識量や情報量が足りない、と感じてきた。じゃあ、それをどうやったら身につけられるのだろう、と思った時、日本には映画のビジネス面を重点的に学べる選択肢がなかったのだ。

 そして、英語を使っていきたい、という想い。私は国際関係の学部を出ているのだけれど、映画の道を選んでから、英語ではなく映画という意識がとても強かった。それが10年以上も経て、点と点がつながったというか。あー、英語を映画で生かせばいいんだし、それを武器としてもっと磨いていかなくちゃ、と思うようになった。この点はゴールなんてなくて、これからも日々鍛錬。

 そんな中、決めてとなったのが、2012年9月3日(月)~8日(土)まで開催されたUNIJAPANの「米国フィルムスクールにおける短期研修プログラム」。UCLA、USC、AFIといったフィルムスクールから、実際にL.A.のエンタメ業界で働いている日本人のお話まで、いくつか現場も見せて頂き、とても良い刺激になったし、とにかくこの中に身を置きたい、と思うようになった。実際その時にお会いした方に、今回の滞在でとてもお世話になったりしたのだから、あー、やっぱり人間関係って不思議だなぁと思ったりもする。

 余談だが、その時オーガナイズして下さったUNIJAPANの方に今回の滞在終わりにお会いしたので、「あの時参加してなかったら、今こうしてロスとか来てないです!」とお礼を言ったら、「あの時ああしてなかったら、今こうしてない、なんて自分の人生では考えたことないですよ」と言われてしまった。私、そんなのばっかりです......。いつも綱渡りな人生なんです......。はい。

 思い立ったら動かずにはいられない性分なので、今年はインプットの年にすると決めてまずは渡米。春までの間に英語をブラッシュアップしつつ、エンタテインメント法やエンタテインメントビジネスの社会人クラスを取った。それはそれで収穫ある内容だったのだけれど、日に日に数カ月じゃ足りないなあ、もう少し吸収したいなあ、と思うように。でも今の年齢から2年留学という選択肢は私の中にはなく、けれどアメリカでもう少し学びたくってという両方の希望を叶えてくれたのが、このプログラムだった。

 ダメもとで「UCLAフィルムスクール プロデューサープログラム」に申請だけして帰国し、運良くお声がけ頂いたキャスティングの仕事を東京でしているうちに、プログラムに行けることに! 関わっていた作品の制作会社の社長がビザの保証人にもなってくれて、今考えれば撮影と手続きをどうやってこなしたのか覚えてないが、なんとか無事ロスへ。
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 40人強のクラスメートは世界各国から来ていた。アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、ノルウェー、スペイン、ロシア、オーストラリア、メキシコ、ブラジル、チリ、イスラエル、トルコ、中国、そして日本の私。ベテラン編集技師兼脚本家、インターネット分野での起業家、大学卒業したてで秋から始まるロースクールまでの合間に参加している子、そしてもちろん各国の制作会社のプロデューサーなどバックグラウンドも様々だった。驚いたのが、脚本家や俳優業をベースにした人たちが多いこと。アメリカでは脚本家がプロデューサーを兼任することも多く、俳優もしかり。クリエイティブ面だけでなくビジネス面を知っておきたいという考えがクリエイターたちにも浸透していた。

 プログラムは、企画開発、ファイナンス、契約やビジネス面、現場制作、配給、マーケティング、デジタル化、起業、テレビ界と、盛りだくさんかつプロデューサーに必要な知識がひと通り学べる内容。講師陣も、実際にフィルムスクールで教えている教授、元エージェント、映画会社のエグゼクティブ、脚本家、ショーランナー*、弁護士など多岐にわたるラインナップ。

 10週間どんなプログラムになるんだろう! でもついていけるかな......。期待と不安を胸に、かつ左ハンドル右車線に戸惑いながら、初日を終え、家路についたのでした。

続く。

*ショーランナーとは、プロデューサー的ポジションで番組のクリエイティブ全てを采配する脚本家。アメリカのテレビ業界にあるポジション。