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2013年4月 4日 14:25

 

【第8回大阪アジアン映画祭】キュートでおしゃれな映画の中のファンタジー

文/須見登志美
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 日本であまり上映されることの無い国の映画を見るのも映画祭の醍醐味だ。私にとっては、マレーシア映画もそのひとつ。今回運良く、バーナード・チョウリー監督の最新作『イスタンブールに来ちゃったの』(2012)を鑑賞することができた。

 恋人(トモ)にプロポーズさせようと、留学先のイスタンブールまでマレーシアから追いかけきたダイアン(リサ・スリハニ)だったが、彼のつれない態度に彼女の思惑はどんどんずれてしまう。その上トルコ人に騙されて、マレーシア人の男性とルームシェアをすることに。バレないうちに彼にプロポーズさせようと焦るのに、事態はますます悪くなっていく、という思いっきり女の子目線のラブコメ。昨年マレーシア国内で大ヒットし、この映画祭で海外初上映となった。

 "常夏の国"マレーシアからやって来たのに、スモーキーな色彩が美しいイスタンブールの石畳を、大きなバッグを持って走り回るダイアンのファッションはとてもキュートだ。深い色のカラータイツにピンヒールのサンダル、襟ぐりの大きくあいたブラウス、大きな髪飾り。トーンは抑え気味だがカラフルな色の組み合わせがなんともおしゃれ。
ist_scene_2.jpg(c)Grand Brilliance Sdn Bhd
モデルだけあって着こなしも抜群。デートのときの二人は、まったく違うファッションなのにペアルック感バッチリだし、"ダイアンのファッションブック"を作りたいぐらい。誰がスタイリングをしているのだろう?

 そんなダイアンは、かわいくてややおばかなキャラクターだが、芯は強く、困難な状況に直面してもなんとか自分で道を切り開いてしまう。なにせ欲しいもの=恋人を手に入れるため、単身イスタンブールまで飛んできてしまうのだから。日本の女子と比較してもやや大胆! と思える彼女の行動力と自由さで、美しいイスラムの古都を舞台に繰り広げられる恋の駆け引きは、厳しいイスラムの戒律の元に育てられるマレーシアの若い女性にとって、大いなるファンタジーなのかもしれない。

 それにしてもバーナード・チョウリー監督は女性の気持ちがよくわかっているなあ、と思う。セクシーなシーンはひとつもないのだが、傷心のダイアンの髪の毛をルームメイト(?)のハリス(ベト・クサイリー)が無言でシャンプーするシーンがあって、あそこはグッときた。あれで決まり! だ。

 恋人役のトモの本業は歌手で、人気グループNewBoysのボーカルだ。この映画のリリカルな主題歌も彼が歌っている。

 是非もう一度見たい! と思う映画だが、うれしいことに5月頃東京で上映される可能性があること(詳細不明)を、チョウリー監督自身が語っていた。期待して待ちたい。