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2013年3月26日 19:16

 

【第8回大阪アジアン映画祭】ますます充実のラインアップ

文/成川友子
 お目当ての映画が上映されると聞いて2012年にはじめて「大阪アジアン映画祭」に行った。あれからあっという間に1年が過ぎ、今年も「第8回大阪アジアン映画祭」にはアジアの国々からたくさんの映画がラインアップされることを知った。

 今年の一番のお目当ては台湾映画の『GF*BF』。昨年6月に台湾で開催された台北映画祭のオープニング作品だったが、字幕が付いていないと聞き、見ずに帰国してしまった。

 もちろん、少ない日数で大阪に行くのだからできるだけ多くの未公開作品を見ようと思ったが、結局2日半の滞在で二人で見られたのは合計7本。

 そのうちの5作品について、触れてみたい。
shinai.jpg 『親愛』

dir.jpg 『親愛』のリー・シンマン(李欣蔓)監督
 この作品は中国の現代社会にて、仕事と家庭を両立させようとするビジネスウーマンを描いている。中国残留孤児である養母、シングルマザーの主人公、そして生みの母親として登場する3人の女性の姿を巧みに演出している(詳しくこちら⇒『親愛』)。

 Q&Aでリー・シンマン監督が、この作品で「地球上のすべて生物の母性愛を描きたかった」と壮大なコメントしていたのが印象的だった。また「観客に想像してもらう余地を残したい」という監督の意図通り、物語は出演者の控えめな演技によって淡々と流れながらも、重たいテーマを描写する。そのスタイルが新鮮だった。ハルピン出身の監督だからこそ、中国残留孤児も身近なテーマだったのだろう。

 タイトルには、文字通りの意味に加え、「親しみは見える、愛には心がある」という意味を持たせるために、「親」と「愛」の間に「、」を入れている。

ido2.jpg 『アイ・ドゥ・ビドゥビドゥ』(c)Unitel Productions and Studio 5

 そして今回、初めて見るフィリピン映画『アイ・ドゥ・ビドゥビドゥ』。クリス・マルティネス監督は今回で3回目の出品という常連。ちょっとフィリピンに縁があり、この映画を見ることになったがいきなりのハイテンション・ミュージカル映画にびっくり!
ido3.jpg クリス・マルティネス監督と女優のユージン・ドミンゴ
 Q&Aでは監督とフィリピンでは国民的人気女優のユージン・ドミンゴさんが登壇。参加した回では観客の半分がフィリピン人のようでドミンゴさんのファンだったようだ。劇中に挿入されている曲はフィリピンのビートルズとも呼ばれる伝説的なバンドAPO Hiking Societyのもの、上映中は絶えず誰かが口ずさんでいた。

 クリス・マルティネス監督とユージン・ドミンゴさんは現在、製作中の新作でドミンゴさんの日本人恋人役を募集していると発表して、ドミンゴさんが観客を見渡し「ちょっと今回は年齢が高めね」と笑いを誘っていた。  ドミンゴさんはどうやらイケメン好きで有名らしい。大阪アジアン映画祭終了後、3月18日に香港で開催された第7回アジアン・フィルム・アワードではプレゼンターとして務めており、イケメンの司会のアーチー・カオにキスを強要させていたところがさすがだった。映画の中と余り変わらない「ビッグ・ママ」的な存在感はかっこいい(『アイ・ドゥ・ビドゥビドゥ』の詳細はこちら)。


gfbf.jpg 『GF*BF』(c)2012 ATOM CINEMA CO., LTD.,OCEAN DEEP FILMS,CENTRAL MOTION PICTURE CORPORATION
HUAYI BROTHERS INTERNATIONAL,MEDIA LTD ALL RIGHTS RESERVED.


 映画祭の特別招待作品である『GF*BF』は1年越しで見たかった台湾映画。この作品を作ったヤン・ヤーチェ監督は知らなかったが、ジョセフ・チャン、リディアン・ヴォーンとグイ・ルンメイが3人の主人公を演じると知って、映画の内容云々ではなく、「まずは見たい!」と思っていた。硬派なイメージなヤン・ヤーチェ監督にとってこの作品は初めての長編作品らしいが、3人の俳優とは昔から知り合いらしく、それぞれの魅力を映画で演出してくれていたので凄く満足した1本だった。 

gfbf1.jpg 『GF*BF』のヤン・ヤーチェ(楊雅喆)監督

  Q&Aで監督は、漢字のメッセージがプリントされたTシャツにパーカー姿で現れた。硬派なイメージがカッコいい。司会からは今回の映画祭で最も人気の監督と紹介されていた。Q&A終了後のサイン会も長蛇の列。なんと監督を囲むファンミーティングも開催された。これからますます注目の監督だ。  ちなみに第7回アジアン・フィルム・アワードではジョセフ・チャンが最優秀男優賞に、グイ・ルンメイが最優秀女優賞に、そしてリディアン・ヴォーンが最優秀助演男優賞にノミネートされていた。残念ながらジョセフ・チャンは来ていなかったが、レッドカーペットのリディアン・ヴォーンとグイ・ルンメイに見とれてしまった。香港でも相当な人気らしく記者らが押し合いながら写真を撮っていたので、私はこんなショットになってしまった。

gfbf2.jpg リディアン・ヴォーンとグイ・ルンメイ

memory.jpg  『メモリー -First Time-』
(c) 2012 Irresistible Beta Limited,Edko Films Limited,
Edko (Beijing) Films Limited,Beijing Happiness Union Co., Ltd.,BDI Films Inc.All Rights Reserved.

 さて昨年の大阪アジアン映画祭で私のお目当てだった『LOVE』に出演したマーク・チャオは、今年は『メモリー ‐First Time‐』に出演しており、コンペティション部門に選ばれていた。韓国映画『アメノナカノ青空』をベースにリメイクされたこの作品だが、不治の病をテーマにした若者の悲しいラブストーリーで、涙涙の物語と思っていたが予想に反し、「そうくるか」という展開にぐいぐい引き込まれた。さすが台湾映画!


   そして、なんと日本公開も決定しているというので、配給会社様! マーク・チャオが舞台挨拶に来てくれることを祈っています、とお伝えしておきます(『メモリー ‐First Time‐』の詳細はこちら)。

teizoku.jpg  『低俗喜劇』
(c)2012 Sun Entertainment Culture Ltd.
All Rights Reserved

 そして映画祭最終日に見た最後の1本がパン・ホーチョンの『低俗喜劇』。こちらも特別招待作品として日本初上映された。とにかくチャップマン・トーの役はおいしい。映画プロデューサー役を演じており、中国と香港の映画産業の裏側を垣間見たような気がする。お下品で、はじめは周りを気にしながら笑うような作品だけど、私にとっては「ザッツ・香港映画」という1本。  この映画を見た翌日から香港に行ったのだが、どうも道を歩いているみんながこの登場人物のように見えてくる。

 でも、この映画の面白さは世界共通だと思うので、子ども抜きでぜひ見に行ってください!(『低俗喜劇』の詳細はこちら)。