mono-logue

2012年11月14日 17:46

 

ジミー・ミリキタニと尊厳とGAMAN

文/関口裕子
  ニューヨークに住む友人のメルマガを楽しみにしている。彼の生活圏内で起こった文化、スポーツ、様々な事象を、日々のつぶやきとして綴ったもので、大手メディアでは報道されないポイントを選ぶ目と、伝え方のユニークさが魅力。彼は今のところ趣味で続けているのだが、下手な有料メルマガよりずっと読み応えがあるのは確か。

 さてそのメルマガで興味深いお知らせがあったので、許可を取って一部転載させていただく。

植物のピンブローチ_1.jpg
 興味深い内容とは、東京藝術大学大学美術館で、11月3日(土・文化の日)から始まった「尊厳の芸術展 The Art of Gaman」(12月9日まで)のこと。以下は、メルマガの転載となる。

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 これは戦争中に10カ所あった日系人強制収容所において、日系人が創った美術工芸品を集めた展覧会。なぜかニューヨークには来なくて、ジミー・ミリキタニと一緒に見に行ったのは一昨年の夏、首都ワシントンのスミソニアン博物館でのことだ。

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 ここでひとつ補足させていただくと、ジミー・ミリキタニとは、10月21日(日)に92歳で亡くなった日系米国人の画家ジミー・ツトム・ミリキタニさんのこと。第二次大戦中、ツールレイクの強制収容所に入った後、米国市民権を放棄し、ホームレス生活を送った。そんなミリキタニさんと出会ったリンダ・ハッテンドーフ監督が、2006年、彼の生涯をつづったドキュメンタリー『ミリキタニの猫』を撮った。さて続きだ。

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 というのも、この展覧会にはジミー・ミリキタニがツールレイク日系人強制収容所にいたときに描いた絵が一点含まれている。収容所の近くにあったキャッスルロック山を描いたもの。署名は「三力谷萬信(ミツノブ)」。ジミーの当時の雅号(ペンネーム)だ。日本で絵を学んだ師匠の一人、木村武山がつけてくれた名前だという。1950年代以降は「日本学の父」角田柳作がつけてくれたという「(三力谷)雪山」という名前を使った。

 元々この展覧会が始まったのは2006年かな。だからジミー・ミリキタニの作品は当初は含まれていなかった。

geidai.jpg
 「ミリキタニの猫」のワールドプレミアが2006年春のトライベッカ映画祭。サクラメントでの初上映がほぼ一年後の2007年3月。その時にこの映画が地元の新聞に紹介されて、映画題名を見て「ミリキタニ...?」と、収容所を出るときに亡き父親が買ったという、家に長年飾ってあった絵の署名を確認して、連絡してきた人がいた。その持ち主が上映会場に絵を持ってきてくれて、本人と作品(1946年作)が半世紀ぶりに再会したわけだ。

 さらに後になって、「尊厳の芸術」展のキューレーターがジミーの絵の存在を知ることになる。そして展覧会に含まれたのはスミソニアン博物館の時からじゃないかな。

 そんなわけで、展覧会のカタログを買っても、ジミーの作品は入ってない。展示に作品を追加することは出来ても、カタログは作り直せんからねえ。

 しかしこの「尊厳の芸術」展、元々の英語の題は「アート・オブ・ガマン(我慢の芸術)」。タイトルを聞いたとき「我慢」と「尊厳」じゃイメージが大きく違うよなあ。「尊厳」の方が格好はいいけど、「我慢」の方が実情に近いというかなんというか。

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 こうメルマガは結んでいる。確かにガマンという言葉のインパクトは大きい。このタイトルで、アメリカでの巡回展が行われたことが、"尊厳"だと感じられた。「尊厳の芸術」というタイトルは、同展がスミソニアンアメリカン美術館レンウィックギャラリーで開催された際、NHKが「クローズアップ現代」で報道した「GAMANの芸術~日系アメリカ人尊厳の世界~」を受けたものかもしれない。

 アメリカを巡回した同展覧会は、東京藝術大学大学美術館を皮切りに計5都市で巡回展示されることになっている。巡回展のスケジュールは以下となる。

【巡回展情報】

福島展
【会期】 平成25年2月9日(土)~3月11日(月)
【会場】 こむこむ館 【主催】 こむこむ館、NHK福島放送局

仙台展
【会期】 平成25年5月5日(日・祝)~5月18日(土)
【会場】 せんだいメディアテーク 【主催】 NHK仙台放送局

沖縄展
【会期】 平成25年6月1日(土)~6月30日(日) 
【会場】 浦添市美術館 【主催】 NHK沖縄放送局

広島展
【会期】 平成25年7月20日(土)~9月1日(日) 
【会場】 広島県立美術館 【主催】 広島県立美術館、NHK広島放送局