mono-logue

2012年5月15日 22:47

 

なぜいま香港なのか?
アジア市場のゲートウェイとして台頭する理由

文/河西隆之
thinkglobal_m.jpg多くの来場者を迎えた"think GLOBAL think HONG KONG"
 「"think GLOBAL think HONG KONG"国際化へのパートナー:香港(東京)」が15日(火)、東京・ホテルニューオータニで開催された。香港貿易発展局主催による同イベントは、メインシンポジウムや分科会、商談会、専門家による個別相談会などを通じて最新の香港情報を交わし、日本・香港間の新たなビジネス連携の創出へとつなげていく場となった。

 午前中に行われたメインシンポジウムは盛況にスタート。香港貿易発展局のフレッド・ラム総裁が開会の辞の際に「日本で過去最大のプロモーション・キャンペーンを行えることを大変うれしく思う」と明かしたが、1000人規模を収容する会場ながらも席の多くは埋まり、日本企業の香港への関心の高さが垣間見えた。

 日本政府代表として柳澤光美経済産業副大臣が挨拶を行い、「シンポジウムのテーマは『国際化へのパートナー:香港』。グローバル化を目指す中小企業を始めとする日本企業にとって、香港は国際化のパートナーであり、アジア市場のゲートウェイである。香港と我が国が本当にウィンウィンの関係になるように経済産業省はもちろん、政府をあげてこれからの活動を全面的にバックアップしていきたい」と国をあげて香港との関係性を強化していくことを表明した。

 メインシンポジウムでは、香港との協力関係強化の一環として、日本貿易振興機構(ジェトロ)と香港貿易発展局による次世代協力モデルの共同構築覚書の調印式も執り行われた。調印式には、ジェトロの横尾英博副理事長とフレッド・ラム総裁が出席。柳澤副大臣、および香港特別行政区政府のグレゴリー・ソー商務経済発展長官が見届けるなか調印書に署名を行い、覚書が締結された。覚書は両機関の連携強化を通じて日本企業のアジア市場開拓をサポートするとしており、合意事項には「市場情報の共有」「ビジネス・ミッション(企業訪問団)派遣」「その他事業における連携強化」が含まれているという。

 「日本企業の香港を活用した事業展開」と銘打たれたパネルディスカッションでは、ヤマトホールディングスの木川眞代表取締役社長、NTTコミュニュケーションズの牧貞夫代表取締役副社長、野村證券の鈴木裕之専務執行役員、日産自動車のサイモン・スプロールCVPが登壇。グローバル化における香港のメリット、留意点について尋ねられた木川代表取締役社長は、「香港の魅力はグローバルなハブとしてすべての機能が整っており、リージョナルヘッドクオーターが香港に集中するわけがここにある。ただし、宅急便というネットワークで商売をすると、国土が非常に狭い。単に香港というよりは、華南エリアと一体化、さらにはもっと広域でネットワーク化するハブとしての活用は多いにある」と回答。同様にスプロールCVPも「香港だけでは市場は小さいが、グローバル展開の拠点として捉えるべき」と述べた。

 香港に拠点を置くことと、中国に置くことの違いについて牧代表取締役副社長は、「インターネットの自由度、様々な通信に対する規制が少ない、あるいは規制が透明であるということが、マルチナショナルカンパニーのITハブになるには非常に大事だと思います。香港から中国本土にサービスを提供することはありますが、やはり、中国からグローバルにIPサービスをやろうとすると様々な課題があります」とインフラ面での利点を例に出した。一方、鈴木専務執行役員は人材や資金面について触れ、「香港はシンガポールと並んで英語でビジネスができるため、ストレスが全くない。そういう意味で非常に大きなメリットがある。また、人民元建ての資金調達の場として大きな優位性を引き続き持っていくだろう」と有利性を説いた。

 パネルディスカッションの最後は、モデレーターを務めた福井県立大学地域経済研究所の丸屋豊二郎教授が香港の優位性を5つにまとめて締めくくった。その5つとは、"ハード、ソフト両面でトップクラスのインフラを持つビジネス環境""中華圏(シンガポール、台湾含む)ビジネスの拠点""中国の玄関口、アジアの結節点となる地理的利点""CEPA(経済貿易緊密化協定)による中国市場に対する優先的アクセス権"、そして"多くの文化、言語を抱える多様性"だ。中国、アジア、ひいては欧米へのグローバル展開を狙っている企業にとって香港は魅力的な都市であり、一考に値するのではないだろうか。東京開催は終了したが、大阪・帝国ホテル大阪では17日(木)に開催される。