mono-logue

2012年3月24日 14:42

 

映画祭に行こう! 大阪アジアン映画祭追記

文/関口裕子
asianfilmfes.jpg第7回大阪アジアン映画祭の上映作品が掲載されたチラシ
 きっかけは2月7日に会社のインフォ・アドレス宛てに来た「大阪アジアン映画祭プログラム確定」の広報メール。添付されていたプレスリリースをぼーっと眺めていると、かねてより見たいと思っていた『セディック・バレ 太陽旗/虹の橋』のタイトルがある。「週末に行ってこようか? でも上映は金曜日の夕方か」。仕事の合間にそう考えていると、向かい側からも「大阪アジアン映画祭に行きたいなぁ」という同僚の声が聞こえてきた。彼女はマーク・チャオが出ている『LOVE』が見たいという。

 『セディック・バレ』は、アカデミー賞外国語映画賞のロングリストに選ばれたウェイ・ダーション監督(『海角七号/君想う、国境の南』)の新作。第7回アジアン・フィルム・アワードにもノミネートされた、2011年の台湾を代表する大ヒット映画。1930年に台湾で起きた霧社事件を題材にしており、日本での興行は難しかろうと、半ば見ることをあきらめていた。

 同僚が一本釣りされた『LOVE』は、昨年のアカデミー賞外国語映画賞ロングリスト選出作品『モンガに散る』のニウ・チェンザー監督の新作。マーク・チャオ、イーサン・ルアン、スー・チー、ヴィッキー・チャオ、エディ・ポン、アイビー・チェン、アンバー・クオと、台湾、大陸の若手スターが出演する。中国、台湾、香港では2月に公開され、大ヒットを収めたが、日本公開はいつになるやらと、彼女は台湾まで見に行くことまで検討していたという。

teruoka.jpg大阪アジアン映画祭ディレクターの暉峻創三さん
 4人しかいない社員の2人――半数が行きたいとなれば、もう社を挙げて参加するしかない。こうして社旗を掲げての大阪入りをすることとなった。

 会場では審査員である上野昴志さん、評論家の宇田川幸洋さん、東京国際映画祭プログラム・ディレクターの矢田部吉彦さん、小出幸子さんらと久々に再会。それぞれの立場で仕事をしつつも、観客として映画祭そのものを楽しんでいたこの豪華な顔ぶれも、アジアの映画祭で知らぬ人のいない暉峻創三さんがディレクターだから。海外からのゲストが多いのも、彼のネットワークのたまものだろう。

 「この規模の映画祭にしては、確かにゲストは多い方だと思います。映画祭の盛り上がりを計る尺度に、自費参加者の多さというのがあると思うのですが、そこでなければ見られない映画があり、そこに行ったからこその出会いがあると感じてもらえれば、人は来てくれる。かつて香港国際映画祭において僕らがそうであったように......。大阪アジアン映画祭を、そのような場にできればと思っています」と就任4年目の暉峻さんは語る。

gest2.jpg
映画祭に参加したゲストの方々
 映画祭事務局長の景山理さん、暉峻さん......、この映画祭は、運営側の顔がよーく見える。場を、作品を、楽しさを、他の観客やゲスト、運営側と共有している感じが強いように思うのは、そんなことも関係あるのかもしれない。

DCIM1047a.jpgほぼ満員のABCホールの客席
 私の見た6本の映画は、チケットが完売した作品が多く、どれも会場はにぎわっていた。

 「映画祭は、作品が選ばれ、出品することに意味があるのではなく、多くの観客が見、作品やゲストと、その観客との新たな出会いこそに意味があるのです。だから来日してくれたゲストのためにも、会場を観客で埋めることが、なによりのおもてなしだと思っています。来場者が増えることは、結果的に文化としても、経済としても、大きなプラスとなりますし」。

 日本で開催する国際映画祭は、例えば英語圏での開催では必要ない日本語字幕が必要となる(映画祭エントリー作品はだいたい英語字幕をつけているが、日本語は特別な言語なので映画祭側で用意しなければならない)ことなどもあり、行政による助成金なしで運営することは難しい。しかし助成金だよりの映画祭にはしたくないと暉峻さんはいう。同感。だがそれを実現することの難しさもよくわかる。

 「そのためにもお客さんの信頼を裏切らないこと」と暉峻さん。いずれにしても私たちがラインナップで一本釣りされたように、そして多くのゲストがアジア各地より参集されたように、大阪アジアン映画祭の認知が、魅力ある映画祭として高まりつつあることは実感できた。

 「お客さんが満足して帰ってくれることが映画祭の原点です。そういう意味でも作品選びは重要。スターや招待状を掲げなくても、あの映画祭なら行きたいと観客やゲストの方々から言ってもらえるよう、やっていきたいと思っています」。

 わが社は、自分たちの意思でこの映画祭に参加し、映画と来日したゲストとのトークを堪能し、大阪......特に福島地区の食を味わい、こうして感じたままを書いている。楽しい。これまでも様々な映画祭に参加してきたが、こんなに愉快なのは、自分と映画祭との関係が変わったというのもあるのだろう。

 映画祭に参加する楽しさにすっかり味をしめ、次はどこに行こうか、現在、北から南まで物色中。